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情報漏洩が怖いから生成AIをやめるは逆効果|流出32件の共通点

2026.10.8

「情報漏洩が怖いからAIをやめる」は逆効果。今年の流出32件の共通点

2026年の個人情報流出を30件以上調べて分かったこと

2026年に入ってから、企業の個人情報流出のニュースが止まりません。焼肉きんぐのアプリ会員1,079万件、Gyazoの約2,362万件、KDDIのメールアドレス1,223万件、タイムズカーの約660万件。東京商工リサーチは10月7日、上場企業の個人情報漏えいが「過去最悪ペース」だと発表しました。

こういうニュースが続くと、社内から「AIは怖いから使うのをやめよう」という声が出てきます。ChatGPTやClaudeを解約した、という話も聞くようになりました。

そこで、今年1月から10月7日までに公表された主な流出を、各社の発表と報道で1件ずつ確かめました。対象は32件です。

結果から書きます。生成AIの使い方が原因だった流出は、1件もありませんでした。

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32件のうち29件は外部からの攻撃です。残りは、通知メールの設定ミスが1件、記録媒体の紛失が2件でした。原因が公表されている件を見ると、ソフトや機器の脆弱性、盗まれたアカウント情報の悪用、委託先のサーバーへの侵入、暗号化していないSSDの保管不備といったものが並びます。

なお、SNSで出回っている流出まとめの画像には、2026年の公表が見つからない事件や、2023年の事件が混ざっているものがありました。不安なときほど、出どころを確かめる必要があります。

情報漏洩する会社の共通点は「いまのままでいい」

警察庁が今年3月に出した報告(令和7年分)を見ると、被害を受ける会社の共通点がはっきり出ています。

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ランサムウェアの被害は226件で、約6割が中小企業でした。侵入口は、社外から社内につなぐVPN機器が66%、リモートデスクトップが21%。不審なメールからの侵入は2%しかありません。そして侵入口になった機器の56%は、更新プログラムが当たっていませんでした。復旧に1,000万円以上かかった会社は、半分を超えています。

つまり多くの被害は、「動いているから更新しなくていい」「セキュリティは後回しでいい」「昔から使っている機器だからこのままで」という判断のすき間から入られています。新しい技術を避けて現状維持を選ぶことが、いちばん大きな穴になっているわけです。

もちろん、全部が怠慢というわけではありません。KDDIの件は、メーカーもまだ把握していなかった欠陥を突かれたものでした。それでも、統計で見れば「基本の更新と点検の抜け」が最大の入口であることは変わりません。警察庁の報告も、基本的な対策の徹底がもっとも重要だと書いています。

しかも攻撃する側は、もうAIを使っています。セキュリティ会社は、7月以降の被害の増加の背景に攻撃側のAI悪用がある可能性が高いと指摘しています。攻撃側はAIで速くなり、守る側はAIを怖がって止まる。この差が広がるほど危なくなります。

生成AIがあれば防げたかもしれない4つの流出事例

では、守る側がAIを使っていたら何が変わったのか。原因が公表されている事例で考えてみます。言い切れるものではありませんが、少なくとも「見つけるきっかけ」にはなり得た事例です。

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1つ目は九州電力送配電です。延べ1,354万件が入ったバックアップ用のSSDが所在不明になりました。暗号化もパスワードもなく、鍵のないキャビネットに置かれていて、委託先への指示も足りなかったと公表されています。作業手順書や委託先への指示書をAIに読ませて「暗号化・保管・持ち出しのルールが抜けていないか」を聞けば、穴を指摘できた可能性があります。

2つ目は穴吹ハウジングサービスです。グループ会社のネットワーク機器の脆弱性を突かれてランサムウェアに感染しました。社内の機器の一覧をAIに渡し、公開されている脆弱性情報と照らし合わせる作業を毎月の決まりにしておけば、更新が必要な機器に早く気づけたかもしれません。

3つ目は昨年のアスクルです。委託先が使っていた管理者アカウントの情報が漏れ、多要素認証(パスワード以外の確認)が設定されていなかったところから侵入されました。アカウントの一覧をAIで点検し、「委託先」「管理者権限」「多要素認証なし」が重なるものを洗い出していれば、優先して塞ぐべき場所が見えたはずです。

4つ目は、2りんかんイエローハットやGyazoのような、Webの仕組みを突かれた事例です。いまはAIがブラウザを自動で操作して、自社サイトに弱いところがないかを試すツールも出てきています。Playwrightという操作の仕組みを使い、AIが実際に画面を動かして確かめるものです。ただし、使ってよいのは自社のシステムか、書面で許可を得た範囲だけです。他社のサイトに試すと不正アクセスになるおそれがあります。

一方で、AIでも防げないものはあります。メーカーも知らない欠陥を突く攻撃や、内部の人による意図的な持ち出しです。AIは魔法ではなく、点検の手間を大きく減らす道具だと考えるのが正確です。

社員中心で回す、月1回の生成AIセキュリティ点検

Googleが開発したAIが実在のソフトの脆弱性を見つけたり、AnthropicのClaudeがオープンソースの重大な脆弱性を500件以上見つけたりと、守る側のAI活用はもう始まっています。ただ、こうした成果は専門家が取り組んだものです。中小企業がまずやるべきなのは、もっと手前の点検です。

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情報システムの担当者がいない会社でも、現場の社員が自分の仕事の範囲でAIと一緒に点検すれば回せます。土台には、IPAが公開している中小企業向けのガイドラインや「5分でできる自社診断」が使えます。

そのうえで、例えばこんな形です。

  • 社内のパソコン・機器・ソフトを書き出してAIに渡し、サポートが終わっているものや更新が必要なものを洗い出す

  • アカウントの一覧をAIに点検させ、辞めた人のアカウントや多要素認証が入っていない人を見つける

  • 共有フォルダやGoogleドライブの共有設定をAIと確認し、外部に公開されていそうなものを探す

  • 自社のWebサイトを、許可を取ったうえでAIの診断ツールに試させる

  • 本物そっくりの不審メールの例をAIに作らせて、見抜く練習をする

月に1回、部署ごとに30分。これだけでも「誰も見ていない場所」は確実に減ります。最後の判断は人がする。AIは点検の補助役です。

前提は、ChatGPT・Claude・Geminiの正規の企業プランを使うこと

ひとつだけ守ってほしいことがあります。

AIは、ChatGPT・Claude・Geminiの純正の企業プランで使ってください。

ChatGPTのBusinessとEnterprise、ClaudeのTeamとEnterprise、Google WorkspaceのGeminiは、どれも会社の入力内容をAIの学習に使わないと規約で約束しています。

GoogleドライブやBoxに会社の資料を預けられるのは、業務用の契約でデータの扱いが決まっているからです。AIもまったく同じです。

危ないのは「AI」ではなく「個人の無料アカウント」のほうです。

実際、IPAは2026年の「情報セキュリティ10大脅威」で、AIの利用をめぐるリスクを組織編の3位に初めて入れました。中身は、意図しない情報漏えいやAIの答えの確認不足です。だからこそ、禁止ではなくルールと契約で管理する必要があります。会社が禁止すると、社員は個人のアカウントで使い始めます。Verizonの今年の調査では、会社のパソコンでAIを使う社員は1年で15%から45%に増えました。

禁止しても使う人は減らず、会社から見えない場所が増えるだけです。

「自社専用AI」をうたうサービスも、中身はOpenAIやAnthropic、GoogleのAIを呼び出しているものが多くあります。閉じているから安全とは限らず、データを預ける先が1社増えることもあります。見るべきは「閉じているか」ではなく「どんな契約で預けているか」です。

情報漏洩対策で、止まることがいちばん危ない

今年の流出を並べて分かったのは、AIを使ったから漏れた会社ではなく、更新や点検が止まっていた会社が狙われているということでした。

  • 情報漏洩の原因は、AIの使い方ではない

  • 漏れる入口は、更新されていない機器、管理されていないアカウント、決まっていない保管ルール

  • AIは正規の企業プランで使い、自社の穴を見つける道具として社員中心に点検する

いちばん危ないのは、AIを使うことではありません。「いまのままでいい」と止まることです。

WEAVEでは、企業プランの選び方、社内のAI利用ルールづくり、社員がAIで自社を点検できるようになる研修まで、まとめて支援しています。「うちはどこから手をつければいいか」という段階からでも大丈夫です。気軽にご相談ください。

▼WEAVEの生成AI研修実績(2026年8月)
https://weav-e.jp/news/2026-08-26

▼生成AI研修のお問い合わせ/WEAVEホームページ
https://weav-e.jp

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